北陸 ヒト×コト

「ものづくり」は北陸の魅力。そのために私にできることをやっていきたい。

福井の方々とともに伝統産業を
活性化する活動をしています。

今、福井県鯖江市に月1回のペースで通っているんです。地域の伝統産業である越前漆器を活性化、現代化するプロジェクトに参加していて、職人の皆さんと一緒になって活動しています。漆器から始まったこのプロジェクトが人から人へと広がっていき、今では同じく鯖江の眼鏡産業、繊維産業へも波及しようとしています。地元の皆さんとの関わりを深めていくたびに、福井の伝統産業には現代を生き抜く魅力と可能性があると実感しますね。地域の財産がしっかりと未来に継承されるよう、私なりに力になりたいと思いながら活動を続けています。富山・石川も含めて、北陸は本当に多彩なものづくりが根づいていて、とても興味深いエリアですね。
 近頃はもっぱら福井県ばかりなのですが、以前は趣味のロッククライミングのために富山をよく訪れた時期もありました。これまで行く機会が少なかった能登半島の文化にも関心があります。福井の芦原温泉にも行ってみたいですし、有名な恐竜博物館に子供たちを連れて行きたいと思っています。北陸の食べ物も大好きで、鯖江に行った時は必ずソースカツ丼を食べるんです。この季節はカニも楽しみですね。また精進料理の文化にも関心があって、永平寺周辺の油揚げもぜひ食べてみたいと思っています。
 全国各地、さまざまな地域で活動をしていますが、北陸は文化も自然も豊かで食の楽しみも多いとても魅力的で大好きな地域です。

北陸のこれからを考える上で
エネルギーは重要です。

て、ものづくりを始めとする北陸のさまざまな産業にも影響してくるのが、エネルギー、特に電気料金の問題です。日本のエネルギーのあり方を考える上で「Economy(経済性)」は非常に重要で、電気料金の値上げは直接的に家計の負担になるだけではなく、企業の利益が減ってしまうことで雇用や給与にも影響を及ぼします。景気の先行きに不安が続く中で、私たちの家計や企業経営への影響をこれ以上大きくしないために電気料金を抑える方法を考えなくてはいけません。それはつまり、いろいろな発電方法を組み合わせる「エネルギーミックス」の実現、具体的には原子力発電所の再稼働を進めることです。
 もちろん、東京電力(株)福島第一原子力発電所の事故の記憶消えることはありません。

だからこそ再稼働に不安を感じる方の気持ちもわかります。しかし、現在の原子力発電所の安全基準は非常に厳格なもので、安全性を確認できた原子力発電所は積極的に再稼働するべきです。今まで大停電が起こらずに電気が供給されてきたのは、電力会社の努力の結果であり、原子力発電所が停止した分の電気を、火力発電所をフル稼働させ、膨らむ燃料費や施設維持費を捻出することで補ってきました。この状態を未来永劫続けていくのは無理な話です。
 電気は24時間365日、欠かすことなく供給されなければなりません。安定供給を守りながら電気料金をできる限り低く抑えなければならないと考えた時、原子力発電所の再稼働は重要かつ現実的な選択肢となります。日本、北陸の経済を守り、私たちの暮らしを守るためにも目指すべきエネルギーの形がある。私はそう考えています。

慶應義塾大学大学院
メディアデザイン研究科教授

岸博幸さん

1962年東京都生まれ。一橋大学経済学部卒業後、通商産業省(現経済産業省)に入省。コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得。産業政策局、通商政策局、機械情報産業局、資源エネルギー庁などを経て、小泉政権時は竹中平蔵大臣の補佐官・秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化などの構造改革を立案・推進。現在はテレビ番組のコメンテーターとしても活躍。エイベックス顧問。

自分が結果を出すことで、多くの人に勇気を与えていきたい。

カラダもココロも健やかにするお料理を届けていきたい。

野口康代のぐちやすよさん×「富山やくぜん」

国的に「くすりの富山」のイメージが知られる薬都富山。富山市では、その歴史と伝統を生かし地元産の食材と健康によいとされる食材を使った料理やスイーツなどを「富山やくぜん」として認定し、市内の飲食店などで提供している。認定条件は、「富山の食材を使用」「古くから健康面に効果があるとされる食材を使用」「安心・安全に配慮した食材・調理法を使用」「栄養バランスや見た目、独創性、美味しさ」など6つ。2010年よりスタートしたこの取り組みも、11月には新規認定メニューも加わり、現在は45事業者・58品目にまで拡大した。
「富山やくぜんが広がってきたことが嬉しい。お店やメニューが増えて、知名度も高まってきました」。そう語るのは、認定店のひとつであるBistroふらいぱんの野口康代さん。
富山やくぜんの取り組みが開始された当初から参加し、夫であるシェフの利雄さんとともに薬膳メニューの開発に取り組んできた。現在は、パスタ・ピッツア・マカロン・プリン・シフォンケーキの5種類の薬膳メニューをお店で提供する。「富山やくぜんに参加しようと考えたきっかけは、夫が体調を崩したこと。人を健やかにする料理を届けていきたいと考えたからです」。父親が薬売りだった野口さんにとって薬膳は身近なものだったが、メニュー開発には苦労したという。「大前提としておいしい料理じゃなきゃダメ。おいしくて体にいい。それが難しいんです。きっとたくさんの認定店の皆さんも、それぞれに苦労をされていると思います」。
 その成果のひとつが、「薬膳メニューを目当てに遠くから来店されるお客様が増えたこと」。市内の人はもちろん、全国各地から訪れる方がいるという。
「九州や静岡から来てくださる方も。認定店めぐりをしている方々もいらっしゃいます。そういうお客様に喜んでもらえた時に、やってよかったと思います」。これからも富山やくぜんへの参加は続けていくと語る野口さん。「この取り組みをもっともっと多くの人に知っていただきたいんです。認定店が集まるイベントなども開催できたらいいですね」。地域の文化と食材を生かし、そこに認定店それぞれの個性が加わることで注目を集めている「富山やくぜん」。健やかな笑顔の輪が、ここ富山市から全国へと広がりを見せている。

Bistro ふらいぱん

野口康代さん

富山市本郷西部2234-1

1979年の開店から長く地域に愛されてきたフランス料理店を、夫でシェフの利雄さんとともに営む。「富山やくぜん」への参加は2011年からで、現在は「エゴマのスパゲッティ」「エゴマと野菜のピッツア」「う・まかろん・とやま(薬膳・蕎麦)」「越中やくぜんプリン(ブラック&ホワイト)」「エゴマのシフォンケーキ」の5品が認定され、好評を博している。
富山やくぜん ホームページ http://yakuzen-toyama.com/